今年もまたさくらの画像ファイルを作りたくなる虫が啓蟄と共に起こってしまいました。 三
月上旬にある所を別の目的で訪ねたところ、もしかしたらと思っていた通りに早咲きの「河津
桜」が見頃の七分咲きとなっていまして、寒かったのですが携帯していたデジ亀で撮ってしま
いました。
目に触れる、情(こころ)の動く、体が動く、撮らむとす、撮らでは納まらじ、落ち着けず。 是命の証しならざんや。
徒然草にも之在り、「されば、人、死を憎まば、生を愛すべし。 存命の喜び、日々に楽しまざらんや」と。
さて早咲きの河津桜を撮ったのですが、自分の撮影出来る周りでは本格的に桜が見頃となり
満開となるまで後二十日ほどかかりそうですが、それまでにも春の息吹はどんどん咲き初める。
つばき、みずき、連翹 (れんぎょう)、水仙、山茱萸 (さんしゅゆ)、雪柳、こぶし、木蓮、リラと
身近に見られるようになりますが、桜は今しばしです。 十度くらいの寒暖の差があり寒くなった
り暑くなったりを繰り返す時期です。
よろずの事くすしあやし(奇異)き、人もまた然り。 どうしてまたこう言う花が見事に咲くのや、それを見てまたため息
をついたり、カメラを向けて撮ったり、はたまたその写真集までつくろうとは、人もくすしあやしきものにあらざらむや。
春の陽気に誘われてよせばいいのに自分も駄句や駄歌を憚る事なく詠んでみたくなってしまう
ものです。 桜のもとで酒を飲んだり、歌を歌ったり、踊ったりするのと同じ気分ですが、陽気の人
を唆(そそのか)し陽気にする、踊ったり歌ったりため息をついたり鼻歌のもれたりもする。
これまた不思議な力が働くものです。 御仕業(みしわざ)と言うべき哉。
上に掲載の六枚に画像は仕事場の銀座、通勤途中の京橋で撮影しました。 三月二十七日(土)
三月二十七日より咲き初め撮影し始めました桜も四月八日にはもうどんどん落ちて、風に舞い上
がるようになってしまいました。 僅か十日足らずの出来事でした。 自分もしばし「みやびの人」と
なれたような気分です。 「ものごとにあはれなれ」、そんな気分となっています。
さて今年の目標でありました「枝垂れ桜」はこれからが見頃となりますので、この続編として新らたな
ファイルをまとめたいので、続編「枝垂れ桜」も御覧頂ければ幸甚です。 →→ 「さくら続編、枝垂れ桜」
「とにもかくにも、人はもののあはれを知る、これ肝要なり。」
本居宣長 (本居宣長研究ノートより引用)
「季節の花 300」と題するサイトは実によく花について調べられていまして、時々参考にしています。
必ずお役に立つサイトのはずです。